ここの所
MMT(Modern Monetary Theory、現代貨幣理論)
が盛り上がっているようです。
けど色々誤解されている点が多いかな?とネットの反応を見ていて思ったので、以前MMTに関する記事を書いた立場から色々モノ申したいと思います。
自分自身の立場としてはMMTを完全に理解できているわけではないし、信奉しているわけではないです。ただきちんと議論・精査した上で良いところを取り入れるぐらいには値すると思っています。
そして貨幣論独習者で主流派経済学はまともに勉強できていません(いつかはちゃんとやらないとね)
まず現代貨幣理論を理解するうえで大事なポイントは以下のものだと思っています。
・貨幣自身に本質的な価値はなく、価値の媒介者として流通することが存在意義
・貨幣を発行できる立場の国を我々のスケールで考えるのは間違い
というわけでネットで見られた意見を適当にかいつまんで自分なりの考えを示したいと思います。
1.現代貨幣理論は主流派経済学者から見たら異端の考え方
→主流派経済学の考え方は商品貨幣論(貨幣そのものに価値がある)であり、現代貨幣理論は信用貨幣理論(貨幣そのものには価値がない)という点でも貨幣の起源など根本から違う。いわば主流派経済学がきちんと考えていなかった「貨幣の本質」に踏み込んだのが現代貨幣理論。
2.じゃあ国債発行しまくれば無税国家もできちゃうの?
→理論上は可能。ただし貨幣が市場に溢れてハイパーインフレに突入するからダメ。市場に過度の貨幣が流通したら税で徴収し、国債返済に充てるなどして適度なインフレ(経済成長)を起こす。
3.いくらでも借金していいって明らかにおかしい
→あくまでも「インフレにもっていく為には財政赤字も容認する」というスタンスで考えたほうがいい気がする。インフレが過熱し始めたら税収として徴収しそれを国債返済に充てれば良いのです。
こんなのハイパーインフレまっしぐらのとんでも理論だ!って意見もあったけどそれも、そこまでやれとは言ってないの一言。あくまでもデフレ脱却のために一時的な財政赤字を容認するってだけです。
あと借金=ダメというのは我々の感覚であって
①貨幣に本質的な価値はない 流通することが大事
②国家は貨幣を発行できる立場
ということを考えるべき。2の反応と同じく、理論上の部分を過度に取り上げられている。
4.でもアベノミクスうまくいってないじゃん
→アベノミクスは現代貨幣理論に基づいていない。多分だけど量的緩和政策を指して言ってるんでしょうけど
量的緩和政策の概要は
②日銀当座預金(金融機関が預金の引き出しに備えて日本銀行に預けているお金)が増える
③金融機関は日銀当座預金に余裕があるのでそのお金を低金利で企業に貸し出すようになる
④景気回復
という流れを狙っていたはず。
これは銀行における貨幣創造プロセスを間違った捉え方をしているから。あくまでも貨幣創造のプロセスは借り手がいれば貨幣を創造されるのであって、元手に基づいて貨幣を貸しているわけではない。つまりインフレが起これば日銀当座預金が増えるのであって、日銀当座預金が増えればインフレが起きるとは限らない。
というかそもそも、せっかくお金を市場に増やしたとしてもデフレ下には違いないのに増税(市場からの貨幣徴収)しようとしている時点で現代貨幣理論には基づいていないと思う。
5.MMT(Modern Monetary Theory)は現代”金融”理論じゃなくて現代”貨幣”理論と訳すべきでは?
→同意。あくまでも貨幣の本質の追求を出発点としているはず。
とりあえずこんな感じですかね。4の所でじゃあどうやって市場に貨幣供給したらいいの?ってのはまた改めて書こうと思います。
追記 書きました