徒然日記

徒然なるままに書いていきます 固めのものからゆるい日常まで書きたいものを

モラトリアムから救ってくれたのは哲学だった

モラトリアムという言葉に初めて出会ったのはBLEACHの第2巻15話を読んでいるときだった。

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©️久保帯人

 

初めて読んだときは小学生とかだったのでこの高度なボケを理解できていなかったわけですけども

 

ちなみにモラトリアムとは - コトバンクより

モラトリアム
moratorium
E.H.エリクソンの提案した精神分析学の用語。本来は「支払い猶予期間」の意であったのを転じて,社会的責任を一時的に免除あるいは猶予されている青年期をさす。生きがいや働きがいを求め,発見するための準備を整える一方,自分の正体,アイデンティティを確定できず,無気力,無責任,無関心など消極的な生活に傾きながら,自我の同一性を確立してゆく。小此木啓吾によれば,現代人には,この猶予期間を引延ばし,大人になろうとしない「モラトリアム人間」 moratorium personalityの傾向が強い。その背景には,社会の変化が加速度的であり,アイデンティティを見つけきれないという現実があるといわれる。

 

 

そんなモラトリアムという概念との邂逅から数年経って大学受験失敗に伴う自信と目標の喪失とか、変容していく自分が理解できなくてモラトリアムの状態に陥りました。

分かりやすい典型的なモラトリアム。自分がどういう人間なのか分からなかったし、どうしてこんな状態に陥っているのかも、どうやったら脱却できるかも分からなくて悶々とした日々を送っていた。

 

そもそも高校生の頃までの自分は典型的な理系人間で、小説よりも理学書のほうを好んで読んでいたし、哲学なんて小難しい言葉をこねくり回しているだけにしか思えなかった。それが大学に入ってから気が付いたら友人から「文学少年」なんて揶揄される程度に小説にのめり込み、哲学の類も意外とちゃんとやってみたら面白くて他の文系学問にも手を出していって興味だけがドンドン広がっていって自己が発散していくような感じだった。

 

昔の自分からどんどん変わっていくのがただ怖くて、どこへ向かえばいいのかも分からなくて、自分を自分たらしめる「何か」を求めて日々足掻いているような感じ。

プラネテスを読んでてユーリのこの言葉にすごい共感を覚えた。

 

ですからただ僕は

…道標が欲しいんです 北極星のような明確で疑いようのない…

自分の位置を知りまっすぐ進んでいることを確認できるようなものを求めているだけなんです

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プラネテス第1巻4話より ©️幸村誠

 

結局のところ

自分は何者なのか?

自分を自分として規定している本質はなんなのか?

に対する答えを探していたわけで色々もがいた結果、一応今はその状態を脱却できたと言える状態に持っていけました。

 

まあというわけで自分がモラトリアムを脱却するきっかけとなった哲学思想を紹介していこうと思います

近代哲学思想の簡単なまとめにもなってるらしいよ 素晴らしいね!

と言ってもあくまで自分がモラトリアムを脱却する上で役立った部分だけを自己解釈に基づいて紹介しているだけなのでご容赦を

 

 

 

実存主義

第二次世界大戦終了後から出てきた思想

戦争で建物と既存の意味がメタメタに破壊されて人々が新しい意味を求めたという背景がある

 

一言でいえば

実存は本質に先立つ

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実存主義の代表的な人物 サルトル

 

人間は生きる意味という本質が与えられるのではなくて、まず生きているという実存がある

生きる意味は自分で獲得しなければならない

 

サルトルのパートナーのボーボワールの言葉も合わせると分かりやすいかも

人は女に生まれるのではない、女になるのだ

 

人間の本質というものが先にあるのではなく、自分のあり方(実存)の方が問われる以上、人間は主体的に行動する事でありたいようにあれる

というのが多分大事なところ

その一方で人は自分のあり方を自分で決めなければならないという事

これを表現したサルトルの言葉を借りると(個人的にサルトルの言葉では一番好き)

人間は自由の刑に処されている

 

 

 

構造主義

1960年代、冷戦とかからまた戦争が起こったらという恐怖、結局「主体」ってなんなんだよみたいな背景があって出てきた思想

 

これもざっくり言うと

物事を関係性によって整理して、関係性の集まりによって構造というものが構築されているという考え方

 

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構造主義の代表的人物 レヴィストロース

 

自分という人間は何か一個の本質があるんじゃなくて、色々な人との関わり合いとかそういう関係性の中に宿っているんだ って事じゃないですかね

 

 

 

 ポスト構造主義

構造を固定したものとして考えるんじゃなくて、もっと流動的なものだと考えようという流れから出てきた思想

 

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ポスト構造主義の代表的な人物 デリダ

 

構造主義という考え方は良いけど、構造を固定化したものと考えちゃいけない

構造というものは絶えずズレる

究極的に言えば実存も構造も存在せず、差異が存在するとして脱構築を唱えた

 

 

 

本当にすごいさっくりとしか紹介できてないけど、どれも面白いので興味でた方はちゃんと学んでみて下さい

特に構造主義は哲学に留まらず他の分野を研究する手法として出てきたりするので興味ある分野+構造主義で検索すると面白いかも

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wikiにもこんな感じで項目がある

 

 

 

 

というわけで学んでいる過程ではこんな整理されていた訳ではないけど、ポスト構造主義という思考法を手に入れて

 

・自分という人間は本質がある訳じゃなくて色んな人間との関係性によって成り立っている構造に過ぎない

・自分という構造はズレていくこともあるけど、色々な体験を通して感じ方の差異から自分を知り続けよう

 

みたいな感じで、自分の本質を探したモラトリアムに対する解決を示してくれたのが哲学思想ということ

要するに自分が分からない自分を受容できるようになったということ

明確にモラトリアムを脱却できた要因は自分が諦めた夢に向かって頑張ってみようって思えたこととだったたけれど、そう考えられる下地を作ってくれたのは間違いなく哲学を通して得られた思考法だった

 

モラトリアムを脱却したとはいえ今後も自分を探り続ける旅というものは終わらないし、哲学と関わり合っていきたい

 

 

とりあえず全人類プラネテスを読んでくれ

 

プラネテス(1) (モーニングコミックス)

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